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初心忘るべからず

最近はクラスター計算機が混んでいて待ち時間が長く、研究室にいながら本を読んだり、自分とは無関係の分野の論文を眺めたりする時間が増えている。今日も、どう見積もってもあと4日は結果が返ってこない数値計算のジョブを投入したので、コーヒーを飲みがてら、大学院生活の4年半のあいだずっと思っていることをブログに書くことにした。

修士1年生の子たちが勉強しているのを見ると、少し羨ましくなる。博士課程に入ると、研究を進めて業績を上げることが至上命題になりがちで、時間を確保して思う存分教科書を読み耽る、ということはなかなかできないのが現実である。そして残念なことに、業績至上主義は視野を狭めやすいし、さらに悪いことに、研究がうまくいかないときの精神的なダメージも大きくしてしまうように思う。個人的には、「博士課程で何か一つでもいい仕事ができたらいいな」くらいの気持ちでいる方が、心の健康には良いと思っている。

その意味で、指導教員の那須先生には頭が上がらない。これまで、「教科書を読んでいて研究がまったく進んでいない」とか「よく分からないところに拘って研究がまったく進んでいない」とか、そのほか諸々、大変身勝手に研究を進めてきたが、先生は基本的にどんなことにも寛容でいてくれる。

ただ、いま使っている研究手法の教科書やレビュー論文をじっくり読む時間があったからこそ、この手法を気に入ることができたと思っているので、背景知識を身につけながらゆっくり研究できたことは、むしろプラスに働いていると信じている。

このように、基本的には好きなことを好きなように好きなだけやらせてもらっているし、勝手に色々なことを始めても快く受け入れてくれる。かといって放っておかれているわけでもなく、週に一度は話す時間を確保してくれる(なんなら、ほぼ毎日話している)。学生とのコミュニケーションを大切にしてくれる先生である。(これは、なんだかんだで、大学院生にとって大きな救いである。)

大学院生活の過ごし方に、きっと「正解」はない。

ただ、自分の経験から言えば、物理が好きで大学院に進んだのに物理で苦しむ、というのが一番もったいない。だから、気楽にいくべきだと思う。フレッシュな修士1年生が羨ましく見える(と同時に、少し胸が痛くなる)のは、こういう大学院生ならではの悩みを痛いほど分かるからかもしれない。

自戒の念も込めて、「純粋に物理を楽しむ気持ち」を持ち続けたい。

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